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概要

OSJ-vol52

PROSJ freestyle express vol.529声援が力に変わることを、教えてもらったUTMB完走レポート新木知範(あらき・とものり)1 9 9 7年にモントレイルのディストリビューターであったハワードに入社。その後、2007年にモントレイルを扱い始めたコロンビアに移籍。20年間、モントレイルに関わり続け、現在はコロンビアモントレイルのMD(マーチャンダイザー)を担当。トレイルランニング歴も1 9年と長く、数々のレースに参戦。ハセツネCUPは2000年の第8回大会から出場し続け、16回完走。2016年にCCC R、2017年TDS Rに出場し、今年はUTMB Rを見事完走する。R2017年に誕生した「コロンビアモントレイル」。その前身である「モントレイル」のブランディングに1998年から携わってきたのが、コロンビアスポーツウェアジャパンの新木知範さんだ。「モントレイル」との出合いを機にトレイルランニングをはじめ、ハセツネC U Pには2000年の第8回大会から18回連続出場、16回完走している。そして今年、コロンビアがスポンサーを務めるUT M BRで初の100マイルに挑戦し見事完走。全トレイルランナーが憧れる世界最高峰のレースで見えたものとは何だったのか、話を伺った。写真/新木知範(本人提供)取材・文/田中瑠子QUTMBR挑戦のきっかけは何でしたか?初めてUTMBRを見たのは、コロンビアがプレゼンティングスポンサーを始めた2015年でした。視察のためにシャモニー=モン=ブラン(フランス東南部にあるUTMBRの開催地)を訪れ、街全体を覆う熱気に圧倒されました。世界中からトレイルランナー約8000人が集まるほか、サポーターや観客が駆けつけ、街中がトレイルランニングのお祭り状態。この雰囲気の中を走ってみたいと、翌16年にCCCR(約100km)、17年にTDSR(約120km)を完走。満を持して今年、UTMBRの100マイル(約170km)に挑戦したのです。Q初めての100マイル挑戦で、どんな困難がありましたか?終始、関門(チェックポイント)の制限時間の厳しさと眠気、そして想定外の寒さに苦しめられました。「この時間でこのスピードだったら、次の関門には間に合わない」という場面が幾度とあり、もうリタイアしようと諦めかけたことも。距離が長いので、フィジカルの強さだけで進むには限界があります。体と向き合いながら、次のエイドステーションを目指して少しずつ進んでいく。メンタル面の強さが試されました。睡魔との戦いも本当につらくて、幻覚により、何もないところに民家やエイドステーションを見ました。制限時間ぎりぎりなので眠る時間がとれず、眠りながら走り、どう移動したのか覚えていない区間もあります。前後のランナーのヘッドライトの灯りを頼りに、意識がもうろうとしたまま進み「置いていかないで!」と叫んだり、周りに家族がいると勘違いして「迷うから先に行くな!」と話しかけたり。周りの外国人ランナーは「変な奴だな」と怪しんでいたでしょうね(笑)。山の上では雪が降るなど寒さも厳しかったので、レース中のほとんどの時間をジャケットやフリースを着用。どんなに疲れていても体を動かし続けなければ耐えられない寒さで、これには多くのランナーが苦しめられたと思います。Qその壮絶なレースを完走して見えた、UTMBRの魅力とは?46時間で無事ゴールしたときは、ただただほっとしました。面白かったなんて思う余裕はなくて、もう無理!みたいな(笑)。でも、どんなにつらくても一歩一歩、前に進めたのは、声援が背中を押してくれたからです。チェックポイント地点の、フランス、スイス、イタリアのそれぞれの街には大勢の人が集まり、夜中でも早朝でも街中の全員が応援に駆けつけているんじゃないかと思うほど。「ブラボー!」「アレ、アレ!」(フランス語で行け!の意味)という応援が、こんなにも力に変わるのかと驚きました。自分のためではなく、「声援で送り出してくれた人のために走ろう」と思えば、不思議と体が動いてくれる。一人でモンブラン1周に挑戦しても、絶対に走り切れなかったと思います。Q世界最大規模のトレランレースだからこその、印象的な出会いはありましたか?途中一緒に走ったフィリピン人ランナーに「君は、コロンビアの人だろう!UTMBRの君が出ているウェブ動画を見て、僕も挑戦しようと思ったんだよ」と話しかけられたんです。「ゴールしたら、ガールフレンドにプロポーズするんだ」と指輪まで見せてくれた。コロンビアがUTMBRスポンサーをしているからこその出会いですし、自分の挑戦が、知らないところで誰かに影響を与えていたんだと感動しました。Q改めて感じるトレイルランニングの魅力と、今後の挑戦とは?何よりも大きいのはフィニッシュしたときの達成感。そして、大自然の中で非日常を体感して人間社会に戻ってくるような、新しい世界に行ける面白さです。今後は、走ったことのないOCCR(約56km)に挑戦してもいいし、UTMBRで目標タイムを決めて走るのも面白いかな。1週間くらい休むとまた挑戦したくなるのがトレランの不思議。「もっとこうすればよかった」という反省が必ずあって、向上心を掻き立てられるんです。大歓声の中、46時間でゴール!晴れ間でも寒い!去年亡くなった父の遺影と。山好きだった父のために、絶対に完走しようと決めていた旅のアイテム。シューズはCALDORADOⅢを着用し、足のトラブルは一切なかった牛も全力応援!?大賑わいのコロンビア特設ブースもうすぐスタート。観客がハイタッチで送り出してくれるcSho FujimakicSho Fujimaki